犬を飼うことによる、社会問題の解決

ペットブームといわれて久しいですが、飼い主側の問題も深刻です。例えば、飼い主の高齢化による散歩や犬の世話が体力的に困難に感じたり、飼い主の年齢を理由に各自治体の動物愛護センターやボランティア団体の譲渡会などで、犬を譲渡してもらえないようになっています。つまり、日本の少子化が加速し、人口構造が高齢化にシフトしている中、「新たな家族、コンパニオン」を必要としている高齢者だけでは、犬を満足に飼育できない状況にあります。一方、日本では全国的に、一人暮らしの増加傾向に歯止めがかかりません。一人暮らしは、心身の両面において健康を損ないやすく、犯罪者に狙われる危険性や孤独死の懸念も高いなど問題もあります。

犬を散歩させている人同士は、共通の話題があることで知り合いになるケースが多く、散歩の途中で他人とコミュニケーションを取る機会が増え、知人との輪も広がります。人とのつながりが増えれば、コミュニティも形成され、一緒に食事に出掛けることやイベントに参加する機会が増えることも期待できます。特に、高齢者にとってのメリットは多大です。他人とのコミュニケーションの活発化やコミュニティへの参加により、脳の動きの活性化や毎日の生活の充実化がアンチエイジングを促します。また、高齢者の安全を守る効果もあります。高齢者が発作で倒れるなどした緊急時に犬が吠えたりして助けを呼ぶことにつながります。また、いつも散歩している高齢者の姿を見かけなくなれば、何かあったのではないかと周囲の人が気付きやすくもなるでしょう。高齢者や一人暮らしの方が犬を飼うことにより、こうした社会問題の解決に寄与すると思われます。

以上のように、犬を飼うことのメリットは多いですが、犬を飼う人が増えた場合、多くの地域において、そのインフラが十分に整っているとは言えません。愛犬と楽しく暮らすには、その「暮らす街の環境」が重要です。毎日の散歩環境は勿論、公園や犬に優しい店が多かったりと、様々な条件が浮かんできます。浜辺や川沿いなどの自然が近くになくとも、犬を散歩させるための道や公園などが整備されていない、犬を飼う人が集う場所や犬を連れて入る飲食店も少ない、犬を飼う人のマナーや教育が徹底されていない、地域において特有の情報の入手が困難・・・など、課題を見つけ、解決する努力が必要です。