ドッグ・スマートシティとは

「ドッグ・スマートシティ」は、人と犬に優しい街づくり。

私たちは、住民の人々が犬を飼うことのメリットに着目し、犬を飼いやすい街づくりのために投資を考える自治体と共に、「犬を飼いやすい街」、すなわち「ドッグ・スマートシティ」の構想の実現を推進します。そして、犬を飼いたい人が集まり、幸せに安全に暮らせる街づくりを目指します。

犬と暮らすことは、素晴らしい、楽しい

犬と暮らすことで、人は犬から癒しを受け、愛情や命の素晴らしさを実感できます。犬に餌を与え、家族の一員として迎え入れることで、責任感が生まれ生活に張りが出ます。人間同士の付き合いでは絶対に得られない価値を犬から受けることができ、犬が教えてくれる楽しみは無限です。

信頼できる飼い主に自分は守られている、という安心と幸福を感じてもらいながら、犬と暮らすことがいかに素晴らしく、楽しいものであるか、それを多くの人に味わってもらいたいと思います。

犬の世界は、人間の社会の縮図

ただし、犬の飼育には、問題や課題もあります。新型コロナ渦によるライフスタイルの変化は、動物にも大きな影響を与えています。家にいる時間が長くなったことでペット需要が高まり、ペットショップでの販売数や、保護団体への譲渡申し込みが増えています。その半面、飼い主の生活の不安から、飼い主のストレスに影響され虐待を受けたり、安心して生きる場を与えられず、捨てられたり処分される犬もいます。

日本では、大多数の人がペットを飼いづらい社会になっているといった矛盾も顕在しています。犬の高齢化の進展が、飼い主に新たな負担を強いています。近年、犬を快適な家の中で生活させたり、改良されたフードによる食生活、動物病院の増加や動物医療の進歩による病気の予防などで、飼育環境は劇的に改善され、健康で長生きできるようになりました。長寿化すればするほど、加齢と共にからだが弱ってきたり、病気やけがのトラブルは増え、医療が高度化するにつれて、飼い主の費用負担は重くのしかかります。犬の死因で最も多いのが、人間の病気の死因と同様、癌です。治療法によってはかなり高額になることもあります。また、年齢や進行具合によっては根治できないガンもあります。日頃からの健康管理方法や予防法を考えることが大切です。さらには、人口の首都圏集中化に伴い、飼い主も首都圏に集中します。都会の雑踏の中が、犬にとって最も適した環境なのかとも考える必要があるでしょう。

このように、犬の世界もまた、人間の社会の縮図といえるでしょう。どのような生活環境であれ、ワンちゃんは、家に来てくれたその日から、かけがえのない大切な家族であり、1日でも長く一緒に、そして幸せに暮らしたいと想う気持ちが、変わることはありません。

犬を飼うことによる、社会問題の解決

ペットブームといわれて久しいですが、飼い主側の問題も深刻です。例えば、飼い主の高齢化による散歩や犬の世話が体力的に困難に感じたり、飼い主の年齢を理由に各自治体の動物愛護センターやボランティア団体の譲渡会などで、犬を譲渡してもらえないようになっています。つまり、日本の少子化が加速し、人口構造が高齢化にシフトしている中、「新たな家族、コンパニオン」を必要としている高齢者だけでは、犬を満足に飼育できない状況にあります。一方、日本では全国的に、一人暮らしの増加傾向に歯止めがかかりません。一人暮らしは、心身の両面において健康を損ないやすく、犯罪者に狙われる危険性や孤独死の懸念も高いなど問題もあります。

犬を散歩させている人同士は、共通の話題があることで知り合いになるケースが多く、散歩の途中で他人とコミュニケーションを取る機会が増え、知人との輪も広がります。人とのつながりが増えれば、コミュニティも形成され、一緒に食事に出掛けることやイベントに参加する機会が増えることも期待できます。特に、高齢者にとってのメリットは多大です。他人とのコミュニケーションの活発化やコミュニティへの参加により、脳の動きの活性化や毎日の生活の充実化がアンチエイジングを促します。また、高齢者の安全を守る効果もあります。高齢者が発作で倒れるなどした緊急時に犬が吠えたりして助けを呼ぶことにつながります。また、いつも散歩している高齢者の姿を見かけなくなれば、何かあったのではないかと周囲の人が気付きやすくもなるでしょう。高齢者や一人暮らしの方が犬を飼うことにより、こうした社会問題の解決に寄与すると思われます。

以上のように、犬を飼うことのメリットは多いですが、犬を飼う人が増えた場合、多くの地域において、そのインフラが十分に整っているとは言えません。愛犬と楽しく暮らすには、その「暮らす街の環境」が重要です。毎日の散歩環境は勿論、公園や犬に優しい店が多かったりと、様々な条件が浮かんできます。浜辺や川沿いなどの自然が近くになくとも、犬を散歩させるための道や公園などが整備されていない、犬を飼う人が集う場所や犬を連れて入る飲食店も少ない、犬を飼う人のマナーや教育が徹底されていない、地域において特有の情報の入手が困難・・・など、課題を見つけ、解決する努力が必要です。