犬の世界は、人間の社会の縮図

ただし、犬の飼育には、問題や課題もあります。新型コロナ渦によるライフスタイルの変化は、動物にも大きな影響を与えています。家にいる時間が長くなったことでペット需要が高まり、ペットショップでの販売数や、保護団体への譲渡申し込みが増えています。その半面、飼い主の生活の不安から、飼い主のストレスに影響され虐待を受けたり、安心して生きる場を与えられず、捨てられたり処分される犬もいます。

日本では、大多数の人がペットを飼いづらい社会になっているといった矛盾も顕在しています。犬の高齢化の進展が、飼い主に新たな負担を強いています。近年、犬を快適な家の中で生活させたり、改良されたフードによる食生活、動物病院の増加や動物医療の進歩による病気の予防などで、飼育環境は劇的に改善され、健康で長生きできるようになりました。長寿化すればするほど、加齢と共にからだが弱ってきたり、病気やけがのトラブルは増え、医療が高度化するにつれて、飼い主の費用負担は重くのしかかります。犬の死因で最も多いのが、人間の病気の死因と同様、癌です。治療法によってはかなり高額になることもあります。また、年齢や進行具合によっては根治できないガンもあります。日頃からの健康管理方法や予防法を考えることが大切です。さらには、人口の首都圏集中化に伴い、飼い主も首都圏に集中します。都会の雑踏の中が、犬にとって最も適した環境なのかとも考える必要があるでしょう。

このように、犬の世界もまた、人間の社会の縮図といえるでしょう。どのような生活環境であれ、ワンちゃんは、家に来てくれたその日から、かけがえのない大切な家族であり、1日でも長く一緒に、そして幸せに暮らしたいと想う気持ちが、変わることはありません。